1. 「自然素材っていいけど…本当に大丈夫?」という声に応えたい
自然素材の家に惹かれてはいるけど、決断しきれない。僕は、そういう人たちとたくさん話してきました。
「無垢の床って傷だらけになるんじゃないですか?」 「漆喰の壁って汚れません?」 「自然素材って手がかかりそうで…」
その気持ち、すごくよくわかります。僕自身、最初は“ナチュラルな見た目”に惹かれて入った世界でしたが、実際に家を建て、住む人たちの声を聞くうちに、もっと深い魅力と課題のリアルが見えるようになりました。
今回は、そんな現場からの“本当の話”をお伝えします。
2. 僕が見てきた自然素材の家で出会った“よくある不安”
自然素材の家には、メリットだけじゃなく「覚悟」が要る部分もあります。
でも面白いのは、「それでも選んでよかった」と語る人たちは、後悔じゃなく“納得”の中に住んでるんですよね。
以下、実際にあったお宅でのエピソードを交えながら、よくある不安→どう付き合っているかを一緒に見ていきましょう。
3. 事例①|「床が傷つきやすくて後悔してる?」
杉の床は柔らかいから、確かに傷はつきます。特に子育て中のご家庭では、積み木、車のおもちゃ、椅子の脚——いろんな形で跡が残ります。
でもあるご夫婦はこう言いました。
「最初は気になったけど、今は“うちの暮らしの地図”みたいで愛おしいんです。」
それを聞いて、僕は心の中でガッツポーズしました。 素材のクセを“個性”として受け止められるようになったら、家との関係は一気に深まると思うからです。
4. 事例②|「汚れやシミが気になるのでは?」
漆喰や珪藻土の壁は、手が触れるところにうっすら汚れがつくことがあります。でも、それも“住んでる証拠”。
あるお宅では、子どもが手をついて上った跡が残っていて、お母さんが「これ、うちの“成長記録”なんです」って笑っていました。
どうしても気になる場合は、部分的に削って補修することも可能です。自然素材は、むしろ「直せる」「馴染む」素材なんです。
5. 事例③|「香りが強くて体に合わなかったら…?」
桧や杉にはフィトンチッドという香り成分があります。リラックス効果が期待できる一方、敏感な人には強く感じられることもあります。
僕たちは、施工前に実物サンプルを体感してもらうことを大切にしています。特に桧は香りが強いので、事前確認は必須です。
実は過去に、「檜の香りが強すぎて、頭が重くなってしまった」という方もいました。最初は好印象だったけれど、住み始めて数日で“合わないかもしれない”と感じたそうです。
僕たちはすぐに杉材に変更して対応し、その後は快適に過ごせたと聞いています。
自然素材=絶対安心、ではありません。大事なのは、「自分の体や感覚と合う素材を選ぶこと」。だからこそ僕は、素材は“触って、嗅いで、感じて”決めてほしいと強く思っています。
6. 事例④|「メンテナンスって面倒じゃないの?」
これもよく聞かれることです。でも、多くの自然素材ユーザーが口にするのは、こんな言葉です。
「やってみたら意外と簡単だったし、家に愛着が湧くんです」
床のワックスがけも、数年に1回。傷の補修もアイロンと濡れタオルで簡単にふくらませられます。
「きれいに保つ」ではなく、「味わいを育てる」という感覚に変わると、メンテナンスすら楽しみに変わるんです。
7. それでも自然素材の家を選んだ人たちの理由
完璧じゃない。手はかかる。それでも「この家が好き」と言ってくれる人たちは、みんな“納得して選んだ人”なんです。
素材を理解し、癖を知り、その上で「でも、これがいい」と思えたとき——家との関係性が“所有”から“共生”に変わります。
僕が見てきた中で、自然素材の家に後悔してる人は、実はほとんどいません。なぜなら、その家で「自分たちらしく暮らせている」からです。
8. 僕から伝えたい、“後悔しない選び方”の話
「自然素材は最高です!」って言うつもりはありません。でも、もし心のどこかで惹かれているなら、その直感にはきっと理由があるんだと思います。
大事なのは、“憧れ”だけで選ばず、“理解して納得する”こと。それができれば、後悔のない家づくりに近づけます。
僕はその一歩を、一緒に考えるパートナーでありたいと思っています。
▶ 経年変化のある家、見てみませんか?
経年変化の美しさって、写真じゃ伝わらないんですよね。
僕たちが建てた家の中には、「完成したときより、5年後のほうが好き」って言ってもらえる家がたくさんあります。
素材が育ったあと、家がどんなふうに味わい深くなるのか。
まずは実際の事例を、見て感じてみてください。
「自然素材に惹かれるけど、うちの暮らしに合うのかな?」
「汚れや傷が気になる性格なんだけど、大丈夫かな?」
僕は、そんな“まだ決めきれない段階の不安”こそ聞いてほしいと思っています。
正直なところ、向き不向きはあります。でも、それを一緒に考えるところから、家づくりって始まるんです。