第1章|無垢フローリングで後悔する理由|“杉20ミリ”を選ぶ前に知ってほしいこと
「無垢フローリング、憧れていたんですけど……正直ちょっと後悔してます」
そんな声を、リフォーム相談の現場で何度も耳にしてきました。
無垢材は、確かに魅力的です。
とくに僕たちキノスミカが採用している杉の20mm厚フローリングは、
やわらかく、あたたかく、足触りも軽やかで、空気になじむ素材です。
でもその反面──
- 傷がつきやすい
- 湿気で反ったり、乾燥で隙間があく
- 素足で触れると冬場は冷たく感じることもある
これを知らずに「自然素材はいいもの」とだけ信じて選ぶと、
**「思ってたのと違う」**という違和感が生まれやすい。
でも僕はこう思っています。
無垢材が悪いんじゃない。
“暮らしに合わせた設計”がなかったから、後悔が生まれたんです。
杉の無垢フローリングには、
厚み・やわらかさ・経年変化という独特の個性があります。
それが暮らし方と調和すれば、**「味わい」や「履歴」**になっていく。
逆に、日当たり・湿気・家族構成といった条件を無視して選ぶと、
どんなに高価な素材でも、ただの“扱いにくい床”になってしまう。
だから僕は、杉を選ぶときこそ「素材ではなく設計で決めてください」と伝えています。
この章では、
杉の20mm厚無垢フローリングでよくある後悔の原因と、
**選ぶ前に知っておきたい“リアルな素材との付き合い方”**をお話しします。
第2章|杉の20mm厚無垢フローリングが京都の底冷えに合う理由
京都の冬は、ただ寒いのではなく、**「底冷えする寒さ」**です。
さらに、湿気がこもりやすい盆地特有の気候もあり、
床材の選び方ひとつで、暮らしの快適さが大きく変わってきます。
ここで、杉の20mm厚無垢フローリングが活きてくるんです。
◉ 厚みがあるからこそ、足元から“やわらかい空気”を感じる
杉の特長のひとつは「やわらかさ」。
同じ木材でも、オークや栗などに比べて足当たりがふわっと軽い。
20mmという厚みがあることで、床下からの冷気をやさしく緩衝する層が生まれます。
たとえば、冬の朝に素足で歩いたとき。
合板フローリングだと「ピリッ」とくる冷たさを感じやすいけれど、
杉の無垢材は温度より“質感”で、冷えをやわらげてくれるんです。
◉ 湿気と乾燥、両方に強くしなやかに動く「木の性格」
京都は、冬は乾燥、夏は湿気がこもる。
その変化に、杉は素直に反応する素材です。
- 夏は空気中の湿気を吸って、室内の調湿をサポート
- 冬は乾燥で収縮するが、それが素材の呼吸でもある
だからこそ、隙間や反りも「味わい」として設計に組み込む必要がある。
それができれば、杉材は“手がかかる素材”ではなく、
**“暮らしに寄り添う素材”**になってくれます。
◉ 傷がつく。色が変わる。けれど、それが“風景”になる。
杉材は柔らかいぶん、傷がつきやすい。
でも、その傷は暮らしの履歴になると、僕は思っています。
- 鍋を落としたへこみ
- 子どもが走り回った傷跡
- 陽がよく当たる窓際だけ、色が濃くなっていく
こうした変化が「経年劣化」ではなく、
「経年美化」になるのが杉の20mmの魅力です。
冷えと湿気が混在する京都の家にとって、
杉の厚みとやわらかさは、設計の“調整材”として機能します。
第3章|無垢フローリングで快適な足元をつくるには?断熱・下地・気流止めの設計が鍵
「杉の無垢フローリングにしたのに、冬は床が冷たくて…」
「自然素材って暖かいって聞いていたのに、期待外れだった」
──そんな声の多くは、素材の性能不足ではなく“設計不備”が原因です。
杉の20mm厚無垢フローリングは、断熱材ではありません。
それでも、きちんと設計・施工すれば、足元からじんわりとした**“ぬくもり感”**を得ることができます。
◉ 無垢フローリングは「断熱材」との組み合わせが重要
杉材は熱伝導率が低く、柔らかくて肌触りがいい。
でも、それは床下からの冷気を遮断できていることが前提です。
【よくある失敗例】
- 断熱材の施工が甘く、床下からの冷気がそのまま伝わる
- 気流止めがされておらず、隙間風が床材を冷やす
- 杉材の調湿性能を活かせない構造になっている
だからこそ、リフォームで無垢フローリングを選ぶときは、
「断熱性能が高い家にするには?」という設計視点が欠かせない。
◉ キノスミカの施工:杉材 × 断熱 × 気流止めの3点セット
僕たちキノスミカでは、杉の20mm無垢フローリングを標準採用しつつ、
以下の設計・施工ルールを必ず守っています:
- 床下に高性能グラスウール+気流止めを併用
- 捨て貼り+根太レス構造でたわみ防止&気密性の確保
- 洗面・脱衣所にも局所断熱+湿気制御設計を導入
これにより、無垢材の断熱性・調湿性・感触が設計的に引き出される空間になるんです。
◉ 暮らしの“動線と足元の温度”が合っているか?
- キッチンで長時間立つ場所 → 冷たさは感じていないか?
- 洗面・廊下・リビング間の足元温度差 → 快適さを阻害していないか?
- 子どもやペットが素足で過ごす床 → 傷の受け止めと空気の流れは整っているか?
断熱材・気密処理・下地設計・杉材の特性。
これらすべてが重なって、はじめて“心地よい床”ができあがる。
杉の無垢フローリングを「暖かそう」で終わらせないために、
リフォームの段階で“断熱計画と空気設計”をセットで考えるべきなんです。
第4章|傷や変化は暮らしの履歴|杉のフローリングを“風景”にする生き方
「無垢フローリングって、すぐ傷つきますよね?」
「水をこぼしたらシミになるし、掃除も面倒そう」
──そんな声は、杉材を扱う現場でもよく聞かれます。
でも僕は思うんです。
“完璧”じゃないからこそ、愛せる床になる。
◉ 杉材は柔らかくて傷がつきやすい。それでも僕が勧める理由
杉のフローリング、とくに20mmの厚みを持つものは、
踏んだときにわかる**「たわみのなさ」と「やさしさ」**があります。
けれど同時に──
- 家具を引きずればすぐに跡がつく
- おもちゃや鍋を落とせばへこむ
- 日当たりの差で色ムラや濃淡が生まれる
これらはすべて、「経年変化」ではなく、**“暮らした証”**です。
◉ 僕たちが見てきた“傷ついた床”は、どれも美しかった
- 子どもが初めて歩いた跡が、玄関近くに残っていた家
- 鍋を落としてできたへこみが、家族の話題になっていたリビング
- 陽の当たる窓辺だけが色濃くなった、穏やかな寝室
これらは、設計図にもカタログにも載らない、**「人生の履歴」**です。
無垢の杉材は、そんな“暮らしの風景”を、足元からそっと受け止めてくれます。
◉ 無垢フローリングを後悔しない選び方とは?
- 「傷がつかない床」がいいなら、合板のフローリングを選べばいい
- でも「暮らしがにじむ床」がいいなら、杉の無垢材が向いている
大切なのは、素材そのものよりも、
「その素材と、どんな暮らしをしたいか?」という視点です。
杉材は、完璧ではありません。
でも、それを**「不完全さの美しさ」として迎えられるかどうか**が、後悔と愛着の分かれ道になる。
第5章|暮らしを支える床としての“木”をどう迎えるか?杉材とともに生きる設計の哲学
「木の床、いいですよね」
そう言われるたびに、僕はこう思います。
“いい”かどうかは、設計次第なんです。
無垢の杉フローリングは、やわらかく、傷つきやすく、手がかかる素材。
でもそのぶん、空気と調和し、人の動きに寄り添い、暮らしに風景を生む素材です。
だからこそ、僕は杉材を“ただの床材”として扱いません。
設計という言葉で、杉の声を聞き、その個性を活かす。
それが僕たちキノスミカの仕事です。
◉ 暮らしの哲学がある人にこそ、無垢の床は似合う
- 傷を“味”として見つめられる人
- 完璧よりも“時間の重なり”を愛せる人
- 自然素材を、インテリアではなく“人生の一部”として迎えたい人
そんな人には、杉の20mm厚フローリングは、
ただの床ではなく「暮らしの根っこ」になると僕は信じています。
無垢材で後悔する人がいる。
でもそれは、素材ではなく**“付き合い方の準備”が足りなかっただけ**。
木の声を聞くこと。
空気の設計を丁寧に描くこと。
暮らし方と足元を、静かに整えること。
それが、僕が考える“床のデザイン”です。
まとめ|杉の20mm無垢フローリングで後悔しないために|設計と素材と暮らしの調和を考える
無垢フローリングに対する「憧れ」は、確かに強い。
でも、リフォームで杉の無垢材を選ぶなら、それだけでは足りません。
本記事では、以下のような「後悔しやすいポイント」と、
**その回避方法=“設計と素材の整合性”**を紹介してきました。
よくある無垢フローリングの後悔
- 傷がつきやすい
- 冬に冷たく感じる
- 湿気や乾燥で反ったり隙間ができる
- 思ったよりメンテナンスが必要
- 素材の選び方だけで決めてしまった
後悔しないために必要な考え方
- 断熱・気密・換気とセットで設計すること
- 床下断熱や気流止めを計画段階で明確にする
- 杉の20mm厚という特性を理解して活かす
- 柔らかさ・調湿・経年変化を**“素材の味”として受け入れる暮らし方**を描く
- 傷や変色も「履歴」として楽しめる価値観を持つ
杉の無垢フローリングは「設計と使い方次第で、人生の一部になる」
- 素足で歩く暮らしがしたい人
- 暖かさややわらかさを床材に求める人
- 家族と共に“傷も思い出に”していきたい人
そんな方にとって、杉の無垢フローリングは最高の選択肢になります。
無垢材を選ぶということは、単なる床材選びではなく、
「自分たちはどんな空気の中で暮らしたいか?」を決めるということ。
素材の正しさではなく、暮らしへの設計力が後悔を防ぎ、愛着に変えていく。
僕たちキノスミカは、その伴走をする建築設計会社です。
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