京都の高気密住宅って息苦しいの?と思っているあなたへ
「高気密住宅って、性能は良さそうだけど……息苦しくないの?」
最近、そういう相談を受けることがとても多くなってきました。
とくに京都で家づくりを考えている方からは、
「24時間換気がついていても、空気が流れてる感じがしないって聞く」
「気密が高すぎると、湿気がこもったりカビが心配」
「高性能って聞くけど、実際に暮らしてみてどうなんだろう?」
こうした**「高気密住宅って、実際どうなの?」という不安や疑問**が、よく寄せられるんです。
それもそのはず。
京都は盆地特有の地形で、空気がたまりやすく、風が抜けにくい地域。
冬は底冷え、夏は蒸し暑く、しかも無風──という環境だからこそ、
「空気が動かない家だったらどうしよう」という感覚が自然に湧いてくるんです。
でも、ここで誤解してほしくないのは、
高気密住宅=息苦しい家ではないということ。
本来、高気密の家は:
- 花粉やホコリなどの侵入を防ぎ
- 冷暖房の効率が良くなり
- 換気がしっかり機能すれば、空気が澄んでいる状態になる
そんな**“体にやさしい住まい”**であるはずなんです。
では、なぜ「高気密住宅=空気が悪い」と感じてしまうのか?
それはズバリ、空気が“流れる設計”になっていない家が多すぎるから。
例えば…
- 吸気口と排気口が同じ空間にあって空気が回らない
- 廊下や階段に換気の通り道が設けられていない
- ドアにスリットがなく、空気が1部屋ごとにこもってしまう
これでは、せっかくの気密性能が“逆効果”になってしまうこともあるんです。
僕たちは、そうした家を実際に設計し直し、工事し直してきました。
そして今では、**高気密でも“深呼吸したくなる家”**を、京都で何軒もつくってきています。
この記事では、
「なぜ息苦しく感じるのか?」という本当の原因と、
「どうすれば空気が巡る住まいになるのか?」という設計的な解決策を、
できるだけやさしく、わかりやすくお伝えしていきます。
「空気が流れない家」は、設計のどこで間違ったのか?
「24時間換気が入っているのに、空気が重い」
「高気密住宅なのに、湿気が抜けにくい」
それは、機械や性能が悪いわけではありません。
根本的な原因は、換気の“ルート”と“容量”が設計されていないこと。
高気密住宅でありがちな「空気が動かない間取り」
僕がこれまで見てきた高気密住宅のなかには、こんなパターンがありました:
- 吸気口が1階北側に1箇所だけ
- 排気口が浴室とトイレのみで、リビングが密閉状態
- 階段ホールに空気が滞留していて、2階がムワッとする
- 各部屋に給気があっても、計画的な換気経路になっていない。
こうなると、家全体で“空気の出口”がない家になります。
そして、この状態で24時間換気を動かしても、
**空気が“ぐるぐる回らない”=“呼吸できない家”**になってしまうんです。
換気設計は「穴を開ければいい」ではない
よくある誤解がこれです。
「換気扇を3箇所つけてあるから大丈夫」
「第三種換気システムを入れてるので問題ないはず」
「高気密だから空気は入れ替わるんでしょ?」
──実際には、これでは不十分です。
高気密住宅においては、以下の設計要素がすべて“連動”して初めて快適な空気環境が成立します:
- 各部屋の換気容量(1時間あたり何㎥の空気が入れ替わるか)
- 給気と排気のバランス(どこから入れて、どこから出すのか)
- 空気の動線(流れが滞らない配置になっているか)
- 建具やドア下スリットなど“気流の通り道”の設計
これが一つでも欠けると、
**「空気が動かない高性能住宅」=“息苦しさの原因”**が生まれてしまいます。
京都の家こそ、換気ルートの設計が難しい
京都の住宅は、間口が狭く奥行きが深い「うなぎの寝床」型が多く、
風の流れを読みづらい構造をしています。
そのため、自然換気に頼れない設計が必要になり、
より正確な計画換気と気流の制御が欠かせません。
でも、設計段階でそこまで意識されていない住宅は意外と多い。
結果的に、住み始めてから「空気がよどむ」「頭が重い」と感じることになるんです。
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“息苦しくない高気密住宅”をつくる3つの設計ポイント
高気密住宅で「息苦しい」「空気がこもる」といった問題を感じないためには、
設計の時点で空気の動きを“つくる”ことが大前提です。
単に性能の高い断熱材や換気設備を入れても、
空気のルートが設計されていなければ意味がありません。
では、どんな設計が必要なのでしょうか?
僕たちが現場で取り入れている3つの基本を紹介します。
① 空気の“入口”と“出口”を明確に設ける
まず必要なのは、「空気の旅」を設計すること。
- 吸気:新鮮な空気をどこから取り込むのか
- 排気:汚れた空気をどこから出すのか
- ルート:空気がどう家の中を通るのか
たとえば──
- 1階の北側から吸気し、南側の2階ホールから排気する
- リビング→階段→ホールと空気が通り抜ける動線を設計
- 各部屋にドア下スリットを設け、空気が滞留しないようにする
これにより、住宅全体に空気の流れが生まれ、“こもり感”がなくなります。
② 換気容量と吸気量のバランスを設計段階で調整する
24時間換気を正しく機能させるためには、
**「どの部屋にどれくらいの空気が必要か」**を具体的に数値化し、計算することが不可欠です。
- 家族の人数や生活時間帯
- 部屋ごとの面積や用途
- 使用する換気システム(第一種 or 第三種)との相性
これを踏まえて、吸気と排気のバランスを崩さないように設計する。
京都のように夏は湿気が多く、冬は底冷えする地域では、
このバランスを誤ると「湿気がこもる」「足元だけ冷える」などのトラブルが起きやすくなります。
③ 空気が“感じられる”設計にする
空気は目に見えません。
でも、人は“感じている”んです。
- トイレや洗面所で空気が抜けていく感覚
- リビングでほんのり風が流れてくる気持ちよさ
- 朝起きたときの「空気が軽い」と感じる室内環境
これらは、数字ではなく“体感の快適さ”に直結する設計要素です。
僕が目指しているのは、感性とロジックが両立する空気設計。
「なんか気持ちいい」を、きちんと裏付けられる家づくりです。
「高気密住宅では窓を開けちゃダメ?」という誤解
(ロングテール:高気密住宅 窓を開ける/高気密住宅 計画換気/京都 高気密住宅 窓換気)
「高気密住宅では、窓を開けたら意味がないんですよね?」
「計画換気があるなら、窓を開ける必要ないんですか?」
そんな疑問をよく聞きます。
この章では、**「窓を開けること」と「計画換気の役割」**をきちんと切り分けてお話しします。
計画換気と窓開けは、まったく別物
まず前提として知っておいてほしいのが、
**計画換気=日常的に“空気を更新し続けるための仕組み”**だということ。
これは家の呼吸です。
意識しなくても常に動いていて、空気を“設計されたルート”で入れ替えるためにあります。
一方、窓を開けることは「感覚」としての空気とのふれあいです。
- 朝の空気を感じたい
- 春や秋に気持ちのいい風を入れたい
- 湿気や匂いを一時的に抜きたい
こうした行為は、計画換気とは別軸の“暮らしの感性”の部分です。
高気密住宅こそ「窓を開けても快適」を実現できる
高気密住宅の利点は、「空気が逃げにくい」こと。
それは裏を返せば、窓を一時的に開けても、すぐには熱が逃げたり湿気がこもったりしにくいということでもあります。
つまり——
- 高断熱・高気密により、外気の影響をコントロールしやすい
- 換気経路がしっかりしていれば、風が抜ける構造ができている
- 計画換気がしっかり機能していれば、窓を閉めればまた元通りになる
だから、**窓を開けること自体は悪ではなく、快適性を高める“選択肢”**なんです。
僕が大切にしているのは、「空気に触れる感性」
京都の春は柔らかい風が通り、夏は夕方に熱を逃がす風が吹く。
秋は乾いた空気が気持ちよく、冬は凛とした冷気が朝の空気を入れ替えてくれる。
そんな風を“感じる瞬間”は、**空気設計とは別の“暮らしの豊かさ”**をつくってくれます。
だから僕は、**「高気密=閉じる家」ではなく、「選べる家」**が理想だと考えています。
- いつでも快適で
- 必要なときは風を感じられて
- 閉じたときも安心できる
そんな暮らしを、空気設計+感性の設計で実現していきたい。
「計画換気」の本質とは何か?——空気を“デザインする”ということ
(ロングテール:高気密住宅 計画換気/高気密住宅 換気設計/京都 高気密住宅 換気ルート)
高気密住宅を快適に保つために最も重要なこと──
それが「計画換気の設計」です。
高断熱・高気密でしっかりと密閉された家は、外気が勝手に出入りしません。
だからこそ、「意図的に、空気をどう流すか」がとても重要なんです。
計画換気とは、「吸気」と「排気」のバランス設計
計画換気とは単なる“空気の入れ替え装置”ではありません。
以下の3つを、家全体の構造・動線・生活習慣に合わせて設計することです:
- 吸気量の確保(新鮮な空気をどこから・どれだけ取り込むか)
- 排気量の調整(湿気・臭気・二酸化炭素などをどこから排出するか)
- 空気のルート設計(どのように家全体に行き渡らせるか)
これらのバランスが崩れると、空気がこもったり、換気が“機能していない”状態になります。
よくある失敗例(=京都の気候だと特に起きやすい)
- 吸気口がフィルターで詰まり、吸気不足に
- 排気ファンが浴室やトイレのみで、リビングや寝室の空気が滞留
- 換気量の計算が甘く、冬の底冷えと結露がセットで発生
- 各部屋の気密差が大きく、空気が通り抜けない(=ドア下スリットがない等)
特に京都では、夏の蒸し暑さや冬の底冷えという気候特性があります。
中途半端な換気計画だと、「湿気が抜けない」「暖房しても寒い」などの不満が出やすくなります。
計画換気でつくる「空気の地図」
僕たちはいつも、「この家の空気は、どこからどこへ流れるのか?」という地図を描きます。
- 吸気は1階の北側から
- 吹き抜けを通って2階ホールへ
- そこからトイレ・洗面・浴室へと流れていき、排気される
まるで“空気の旅路”のように、家中に空気がめぐる仕組みを構築すること。
これが、計画換気の本質です。
設備ではなく、「空間としての空気」を設計する
計画換気は、単なる機械換気の設置ではありません。
空気がどこで生まれ、どこを巡って、どこへ消えるのか──を“空間として設計する”こと。
そしてその結果として、
- 湿気がこもらない
- においが残らない
- 朝起きたときの空気が軽い
- 子どもが咳き込みにくくなる
- カビや結露の発生が抑えられる
といった“実感としての快適”が生まれるのです。
「空気が流れる家」だからこそ、生まれる暮らしの希望
高気密住宅は、“機械のような性能住宅”だと思っていませんか?
たしかに、高性能化が進んでUA値、C値などの数値が注目されがちです。
でも、僕が考える本当に良い家とは──
数値ではなく「暮らしの体感」によって判断されるべきものです。
その体感を左右するのが、「空気の質」と「空気の流れ方」。
空気が流れるだけで、暮らしが変わる
たとえばこんな毎日を想像してみてください:
- 朝、起きたときに空気が軽く、深呼吸したくなる
- 夜、寝室のこもり臭がなく、自然とよく眠れる
- 梅雨時でもジメジメせず、フローリングがサラッとしている
- ペットの臭いや調理のにおいが、気づいたら消えている
- トイレや洗面所の“ムワッと感”がない
- 暖房をつけたときに、空気が乾燥しすぎず心地いい
こうした感覚はすべて、「空気が設計されている」からこそ得られる体験です。
結露・カビ・におい——空気が解決できる問題は多い
特に京都のような湿気の多い地域では、空気が動かないことで生まれる問題が本当に多い。
- サッシまわりの結露がカビを呼ぶ
- 押し入れの中がジメジメする
- 洗濯物が室内で乾かない
- クローゼットの服が臭う
これらはすべて、「空気が流れない」ことが根本原因です。
高気密+計画換気+空気動線設計の三本柱がそろえば、
“空気がこもらない家=悩みのない家”に一歩近づきます。
「この空気なら、ずっと住める」そう思える家へ
僕たちが目指しているのは、
“性能”と“感性”のあいだにある暮らしやすさをかたちにすることです。
- 子どもが床に寝転んでも安心な空気
- 洗面所が寒くないから、朝の支度もラク
- 湿度が安定しているから、のどが痛くならない
- 「なんか空気が気持ちいい」と、誰かが自然に言ってくれる
これらはすべて、「空気をデザインする」ことで生まれます。
最後に——“空気設計された暮らし”をあなたへ
僕たちは京都という気候風土の中で、
数値だけでない、感覚的にも気持ちのいい高気密住宅をつくり続けてきました。
その中でわかったことがあります。
「空気は、見えないけれど、ちゃんと暮らしの質を変えてくれる」ということ。
もし今、
「高気密住宅って、ちょっと不安」
「息苦しいんじゃないか」
「うちの換気、ちゃんとできてるのかな」
そんな気持ちがあるなら、次の記事もぜひ読んでみてください。
この空気を設計するという視点が、
あなたの暮らしを“ちょっと良くする選択肢”になるかもしれません。
あなたの悩みを聞かせてください(しつこい営業メールなどは一切お送りしません)
ご相談・ご質問など、小さなことでも大丈夫です。
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