中古リノベ

「壊したくない。でも、住みにくい」──空き家を“活かす”というもう一つの選択肢

中古リノベ
この記事は約8分で読めます。
  1. 第1章|「壊すのは寂しい」——その気持ちに、ちゃんと向き合いたい
    1. でも、現実には「どうしていいか分からない」ことのほうが多い
  2. 第2章|「リノベしましょう!」は、ちょっと乱暴すぎる
    1. ◆「相談したら最後、営業されそうで怖いんです」
    2. ◆「お金のことが一番不安です」
  3. 第3章|なぜ“住まない家”はこんなにも傷むのか?
    1. 家の劣化は「誰もいないこと」から始まる
    2. 住まなくても、守る方法はある
  4. 第4章|「壊さず活かす」は、どこから始めればいい?
    1. どこに、どれだけ、お金をかけるか
    2. 断熱だけじゃ、家は快適にならない
    3. 「補助金ありき」の計画は危険です
    4. リノベの最初の一歩は「インスペクション」
    5. 決して、独りで悩まないでください
  5. 第5章|壊さずに、そっと考えてみるという選択
    1. 選べないのは、決して“優柔不断”なんじゃない
    2. 「残す」という選択には、責任が伴うからこそ
    3. 僕たちにできることがあるとすれば
    4. まずは、悩んだままでもいいから
  6. まとめ|答えは、すぐに出さなくてもいい
  7. こちらの記事もどうぞ
    1. お問合せはこちら|あなたの想いを、直接聞かせてください
    2. Kindle書籍|深呼吸したくなる家を、設計する。
    3. 無料PDF|京都で後悔しない断熱・リノベの教科書
    4. note|現場の言葉と想いを、より深く綴っています

第1章|「壊すのは寂しい」——その気持ちに、ちゃんと向き合いたい

「できれば壊したくないんです。思い出があって…」

こんなふうに始まる相談が、僕のところにはたくさん届きます。
築40年、50年と経ったご実家や空き家。住まなくなってから何年も経っているけれど、いざ壊すとなると手が止まってしまう。
——それは当然のことだと思うんです。
そこには、家族との思い出が詰まっているから。

「壊す」という選択肢がある一方で、「残したい」という気持ちも確かにある。
僕たちは、その感情にきちんと向き合いたいと思っています。

でも、現実には「どうしていいか分からない」ことのほうが多い

・この家、直せるの?
・いくらかかるんだろう?
・相続したけど、固定資産税が気になって…
・売るにしても、どこに相談すればいい?

実家を相続したものの、何も手をつけられず時間だけが過ぎていく。
京都でも、そういった空き家のご相談は年々増えています。

僕たちは、ただ「リノベーションしましょう」とは言いません。
その前に、あなたの気持ちにきちんと耳を傾けたい。
壊さないという選択肢には、感情だけじゃなく“理”もあるからです。

第2章|「リノベしましょう!」は、ちょっと乱暴すぎる

「今ある家をリノベーションすればいいじゃないですか」
そう言われても、簡単には動けないのが現実です。

なぜなら、多くの人が抱えているのは「家そのもの」の悩みだけじゃないから。
お金、思い出、将来の暮らし、相続、そして情報の洪水——。
それらすべてが絡み合って、身動きが取れなくなっているんです。

◆「相談したら最後、営業されそうで怖いんです」

実際にこんな声も多く聞きます。
・見積もりを取ったら、やたらと営業電話が増えた
・相場が分からないから、提示された金額が妥当なのか判断できない
・そもそも、どこに相談すればいいか分からない

家をどうするか考える以前に、**「誰に、どこまで相談していいか」**でつまずいてしまう。
だから僕たちは、まず“営業しない相談”から始めます。
今すぐ動けなくてもいい。気持ちを整理するだけでも、一歩前に進めることがあるからです。

◆「お金のことが一番不安です」

・リノベにはいくらかかるの?
・補助金って本当に使えるの?
・工事費用以外にどんなお金が必要?(登記、税金、設計料など)

そういった不安を、1つずつクリアにしていくために、僕たちは最初に“全体像の見えるマップ”をつくります。
リノベに限らず、**「お金の見通し」**が立たないと、人は動けません。
だからこそ、無料相談の段階で資金計画の叩き台まで出すようにしています。

第3章|なぜ“住まない家”はこんなにも傷むのか?

「壊すのは寂しい、でも…もう住めないかも」
そんな声をよく聞きます。

実際、相続した空き家に何年も手をつけられず、
久しぶりに玄関を開けたときに広がる、重たい空気や湿気の匂い
「もうダメかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。

でもそれは、古いからではなく、**「空気が動いていないから」**なんです。


家の劣化は「誰もいないこと」から始まる

人が住まなくなった家は、24時間誰も呼吸せず、窓も開かず、換気扇も回らない。
その“静止状態”が湿気を溜め、結露を生み、カビや腐朽菌が広がります。
それがやがて柱や土台にまで影響し、「老朽化」を一気に進めてしまう。

つまり、「空気が動かない家」こそが、最も傷みやすい家なのです。


住まなくても、守る方法はある

空き家にできるだけ通い、窓を開ける。
それができなければ、サーキュレーターやタイマー換気を設置するだけでも違います。

たとえば僕たちは、空き家の再生計画を立てる前に、
**まず空気が「抜ける設計」**を考えます。
風の入り口と出口をつくり、空気が巡るように設計しなおすんです。

そうすることで、空き家は「呼吸を取り戻す」
家はまた、再び暮らしを受け入れる器になります。


このように、空き家が“壊れる”のは寿命ではなく、空気が止まってしまったことが原因である場合がほとんどです。

あなたの空き家も、まだ「活かす選択肢」が残されているかもしれません。

第4章|「壊さず活かす」は、どこから始めればいい?

「直せば住めるってわかった。でも…実際に何から始めればいいんだろう?」

そんな声に、僕はいつもこう答えます。
**「まずは“暮らしの優先順位”を決めましょう」**と。


どこに、どれだけ、お金をかけるか

断熱を強化したい。水回りを綺麗にしたい。耐震も気になる。
やりたいことはたくさんある。でも、予算は有限です。

たとえば:

  • 「冬、寒すぎて布団から出られない」
     → 断熱と気密を優先すべき
  • 「段差が多くて親がつまずく」
     → 動線と床の高さ調整が先
  • 「古い水回りが不快で使えない」
     → 設備の刷新が急務かもしれない

あなたの「不満」や「心配」を棚卸して、
**“どこにお金をかけるべきか”**を一緒に整理することが、再生の第一歩です。


断熱だけじゃ、家は快適にならない

断熱工事をしても、換気設計や気密処理が不十分なら効果は半減します。
つまり、「快適さ」は三位一体。

  • 断熱
  • 気密
  • 換気(空気の流れ)

この3つが揃って、ようやく「深呼吸したくなる家」になります。


「補助金ありき」の計画は危険です

最近は補助金も充実しています。
でも「補助金の範囲でできることだけやる」だと、本質的な改善から遠ざかることもあります。

補助金は“後押し”であって、“軸”ではない。
まずは自分たちの暮らしの本質にとって、何が必要かを考えることが先決です。


リノベの最初の一歩は「インスペクション」

やみくもにリフォームを始めるのではなく、まずは**建物調査(インスペクション)**をしましょう。

  • 現在の断熱性能
  • 構造の傷み具合
  • 湿気のたまりやすい場所
  • 空気の動き方

これらをプロの視点で見てもらうことで、お金のかけどころが明確になります。


決して、独りで悩まないでください

「どこから相談していいかわからない」
「一度相談したら、もう営業されそうで怖い」

——そんな声、たくさん聞いてきました。

でも、僕たちは**「押し売り」ではなく、「並走」したい**んです。
空き家が抱える悩みは、断熱や設備だけじゃない。
感情も、お金も、法的なことも、全部が複雑に絡み合っているからこそ、
まずは一緒に状況を整理することから始めましょう。

第5章|壊さずに、そっと考えてみるという選択

「壊すしかないのかな…」
そうつぶやかれた言葉を、僕は何度も耳にしてきました。

でもその声の奥には、迷いや葛藤、そして言葉にならない“引っかかり”があるのだと、ようやく気づきました。


選べないのは、決して“優柔不断”なんじゃない

相続、税金、老朽化、資産価値、家族の思い出。
どれも大切で、どれも現実。

選べないのは、あなたが不器用だからでも、優柔不断だからでもない。
ただ、大事なものが多すぎるだけなんです。


「残す」という選択には、責任が伴うからこそ

壊さずに残す——それは一見、優しい選択のように見えるけれど、
本当はとても勇気がいることです。

  • 中途半端に手を入れても住みにくさは残るかもしれない
  • お金の問題も無視できない
  • 思い出を壊したくない気持ちと、現実の暮らしとのギャップ

何が正解かなんて、誰にもわからない。
それでも、**「もう少しだけ考えてみたい」**という気持ちがあるのなら、
それは、きっと前を向こうとしている証拠です。


僕たちにできることがあるとすれば

それは、「この家にまだ、価値があるのか」を、冷静に一緒に見ていくことかもしれません。

  • すべてを壊さなくても良いかもしれない
  • 最低限の手入れで済む可能性だってある
  • 活かす道と、手放す道、両方を見極めていくこと

「残すか、壊すか」ではなく、
「どう残すか、どう壊すか」を考えるために、静かに伴走すること。

僕たちにできるのは、たぶんそれくらいです。


まずは、悩んだままでもいいから

今すぐ行動しなくてもいい。
結論を出さなくてもいい。

でも、ひとりで抱え込むのは、やめてほしい。

相談したからといって、必ず動かなければならないなんてことはありません。
僕たちは、あなたの「そのままの気持ち」と向き合いたいと思っています。

まとめ|答えは、すぐに出さなくてもいい

空き家をどうするか。
それは、「家」だけの問題ではなく、
これからの自分たちの生き方をどう選ぶか、という問いでもあります。

壊す、残す、直す、手放す。
どの選択も、間違いではない。

ただ一つ言えるとすれば、
「悩む」という時間にこそ、本当の価値があるということ。

焦らなくていい。
世の中のスピードに追いつこうとしなくていい。

その家に込められた思い出や、
これからの暮らしに必要なものを、
ゆっくり丁寧に見つめなおしていけたなら。

僕たちは、その時間に、そっと寄り添っていたいと思っています。


このまま、何も行動しなくてもかまいません。
でも、もしどこかで「ちょっと聞いてみたい」と思えたとき、
その気持ちに、どうか素直になってください。

僕たちは、そのとき、はじめて「お手伝い」できる気がします。

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