「この家、できれば壊したくないんです。」
僕のもとに届く相談の多くは、こんな言葉から始まります。
今回ご紹介するのは、京都の築約50年の木造住宅。
代々住み継がれてきた家を、「壊さずに、今の暮らしに合うかたちに整えたい」
そんなご家族の思いから始まったリノベーションです。
◆ 京都の街並みに溶け込む家。そのままでは住めない現実も
この家は京都市内の静かな住宅地に建つ木造住宅。
通りに面した外観は、周囲の町並みに馴染んでいて、風情があります。
でも中に入ると、冬は底冷えし、夏は湿気がこもり、
昔ながらの間取りは動線が断たれていて、
現代の暮らし方とはかけ離れていました。
特に印象的だったのは、
「この家が嫌なわけじゃないんです。でも、正直寒くてつらいんです。」
という奥様のひとことでした。
◆ 僕が考えたこと:「残す」ことと「整える」ことの両立
僕は“木と空気と断熱で、深呼吸したくなる家”をつくる建築士です。
この家では、過去をすべて壊すのではなく、
残すべきものと、整えるべきものを丁寧に分けることを意識しました。
● 断熱を「家の内側」から再構成
床・壁・天井に断熱材を新設。
見えないところにこそ、暮らしの快適さは宿ります。
窓はアルミから樹脂サッシへ変更し、冬の冷気を遮断。
「朝、台所に立つときに靴下を履き忘れてしまうくらい快適」
完成後、奥様がそう話してくれたのが印象的でした。
● 空気の流れを「設計」するという発想
断熱と並んで重視したのが“空気の設計”。
家全体の通風経路を整え、
障子や格子を活かして、風が抜ける間取りに。
換気ファンの位置も見直して、自然の流れと機械換気が補完し合う空気環境に仕上げました。
◆ 和とモダンが融合する「今の暮らしに合う住まい」
● LDKの再構成
南側の光をしっかり取り入れる位置にLDKを配置。
構造的に残した柱や梁をあえて見せ、
天井高を上げることで圧迫感をなくしました。
キッチンはあえて別空間とし、家族が集まる個室としてとらえました。
● 和室は“使える空間”に再生
和室はあえて残し、建具で開け閉め可能なマルチスペースに。
客間・在宅ワークスペース・家族のくつろぎ空間として、
暮らしの変化に応じて柔らかく使える設計にしました。
◆ 暮らし手の声:「会話が増えた。家が“気持ちよくなった”気がする」
完成後、ご家族が口にされたのは、温熱環境の変化だけではありませんでした。
「自然と家族が集まるようになったんです。」
「休日に家にいたくなるって、こういうことなんですね。」
家のかたちは変えていない。
でも、光の入り方、空気の流れ、温かさが変わるだけで、
人の過ごし方が変わっていく。
その瞬間を見るたびに、
「家って、性能だけじゃなく、“気配”でできてるんだな」と僕は思います。
◆ まとめ:壊さなくても、暮らしは変えられる
この家が教えてくれたのは、
「全部壊さないとダメ」なんて思い込みは必要ない、ということ。
想い出のある家を、
今の暮らしに合うように**“再設計”するという選択肢**。
それが、僕の目指すリノベーションです。
▶ ご相談・施工事例はこちら
「実家を残して住み継ぎたい」
「寒い家を断熱して住みやすくしたい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。










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